腐肉の処方箋
2011年2月:ぶんか社文庫
副作用解析医古閑志保梨シリーズも本作品で5話となる。
今回の副作用事例は高尿酸血症治療薬を取り上げてみた。
高尿酸血症は痛風、腎障害を引き起こし、無治療のまま放置すると死に至る。罹病期間が長く、治療薬も長期にわたって服用せざるを得ない。
薬剤の安全性は歴史的にもほぼ担保されているのだが、時として全身の皮膚がただれ、多臓器傷害につながって、致死的な経過を辿ることがある。
一人の患者の死。副作用発現を見逃した無知な医師。それとも・・・・・・。
患者の部屋に残された物。過去にまで及ぶ隠された事実が浮かび上がり、例によって志保梨の推理は縦横無尽に。
私立医科大学理事長刺殺事件に関係があるのか。
やがて、医学部時代に死亡した恋人の死の真相までもが明らかになったとき志保梨は・・・・・・。
暗闇 美人内科医南野由利香
2010年12月 :静山社文庫
超美人内科医南野由利香が、超老朽化したS市民病院に赴任してきた。他の医療従事者のみならず自らの医療行為にも、わずかなミスをも許さない厳しい戒律を課して、懸命の毎日を過ごしている。
崇拝すべき診断技術を持つ院長陣内雄一でさえも、由利香の厳しさにたじろぐ。
由利香と並び賞賛される小児科担当美人看護師神林雪子。勤務に入る前に、必ず「ミスをしないように」と誓いの言葉をつぶやく。
いつの日からか、院内で死亡した患者の胸にバラが手向けられるようになった。赤いバラ、白いバラ、いずれか1本ずつ。誰が死者にバラを送るのか?
誠心誠意、日常の医療にたずさわる市民病院は、しかし、どこかに不気味な気配が漂い、それは戦争の跡を残している病院の建物のせいだけではない。
見えない暗闇に潜む過去からの使者。
由利香の心のなかに、何が蠢く?
摘出・黒いカルテ
2009年11月 : 静山社文庫
処女作「摘出つくられた癌」(新風舎)表紙
記憶に深く刻まれた患者さん一人ひとりの病魔との闘いを、私自身の医業の記録として綴っていたころ、世間ではさかんに医療ミスの報道が。あまりにも未熟な、あるいは不注意なミス。自らの気持ちを引き締める意味でも、怒りのままに書き出した小説。
お話は一人の乳癌患者の左の乳房にメスが入るところから始まる。70%はノンフィクション…。
大きなミスを犯した若い医師。患者への贖罪の気持ちと、隠蔽しようという心の葛藤。悪魔的自己防衛本能。意図的に悪魔と契約を結んだ別の人物が、自らの目的を達成するために選んだ手段とは?医の心とはほど遠い汚泥流がますますたけり狂う。
昏睡・黒いカルテ
2010年2月 : 静山社文庫
「昏睡かくされた癌」(新風舎)表紙
「摘出」の続編。医療ミスをたくみに利用し、科学的非行に冷然と手を染める医師。診療と研究という美名に、罪悪感は完全に消去され、自らの行為がすべて正しいと、ひたすら医学部の頂上を目指す。
だが、さらに大きな権力が行く手を阻まんと、正邪の区別なく、対抗手段を放ってきた。
信頼していた上司の黒い心に絶望し、大学を去った若い医師。愛する者に巣食う病魔になすすべもなく…。
作者自身の医療への思い、この若き医師の時間に託して、物語は進んでいく。
教授室・黒いカルテ
2010年5月 : 静山社文庫

「細菌感染つくられたカルテ」
表紙(新風舎文庫)
「細菌感染 つくられたカルテ」に加筆新編集したもの。「摘出」「昏睡」につづく黒いカルテシリーズ第3作。
教授という絶対的権力。組織の頂点として、医学科学の発展進歩には不可欠な地位。能力人格ともに相応しい人物が責任を持って携わる業種なのだろうが、少なからず不適切な人間が教授の冠をかぶることがあるようで…。最も卑しいセクハラまみれの教授。
しかし研究ではピカ一?やりたい放題の人生、そういつまでもつづくかな?思惑どおりの人生、これも痛快。突然破滅に追い込まれるのも、また痛快。愛しい女の面影を胸に、彼女の死の責任を探りはじめた若き医師。
たどりついた先には、またしても絶大な権力が。
医の心が見えない相手を標的に、もうひとつの陥穽が密かに口を開けていた。
特効薬:疑惑の抗癌剤
2008年7月 : 二見文庫
ひとつの薬を創り世に送り出すという作業は、想像を絶するような無駄失敗と、時には人命を奪うという悲惨な過程を経て、ようやく成就するものである。当然、莫大な研究費開発費がかかる。
薬効とは、薬剤分子と、生体内の分子の化学反応の中で、人体に有益な反応と言える。生体内にある分子、糖やら蛋白質、電解質、どれをとっても、不必要なものはたぶんない。これらの分子は生体内全体に濃度の差こそあれ、どこにでも存在している。
とすれば、薬との反応、不本意な時所で起こることもある。これが副作用。薬を使えば、主作用とともに必ず多かれ少なかれ存在する。
重大な副作用がある危険性を認識しながら、薬が認可され、臨床現場で患者に使われることになったとしたら…。
末期癌患者治療のための抗癌剤の研究開発。治験途上で違和感を抱いた女医。癌で死んだのか、それとも治験薬剤の副作用か?
製薬会社研究員の殺人事件を担当した医学部出身の刑事。彼もまた研究所で目にした実験結果に首をかしげる。
かつて非加熱製剤によるエイズ感染の危険性を知りながら、情報を握りつぶし、売り続けた国と製薬会社、総括担当大学教授。よもや忘れはしまい。
人の心をなくした薬業界への怒りは連綿として続く。
全身麻酔
2008年9月 : ぶんか社
乳癌の手術後、全身麻酔がかかっていたはずの患者から、「先生方の声、お話、全部聞こえてましたよ」と告げられたことがある。
完全というわけではないが、患者が話した内容はたしかに術中に我々がしゃべったと記憶していたことであった。
患者は何とかして、意識があることを、我々に伝えようとしたが、声が出るはずもなく、筋弛緩剤のために体を動かすこともできず、諦めの境地で、ひたすら手術が早く終わることを念じていたという。
この小説は、全身麻酔中の覚醒という、とんでもない経験が基となって生まれたのだが、別の医療ミスが重なり、他者の意図が働き、見えない殺意が蠢き、表面上は日常の医療が進んでいく中、次々と信じられないような事態が起こっていく。超困難な手術に立ち向かう外科医のメスのように、複雑に絡む仕掛けを、あなたは切り崩すことができるか!?
脳内出血
2008年10月 : 大和書房
実際に起こった医学部大学院生による論文捏造事件。
誰でも知っている超一流科学誌ネ○チャーに論文が掲載されることが、純粋な科学の心ではなく、出世の手段として使われる、現実の科学界。
科学論文が作り話であれば、すぐにばれる。こんな単純なことにも気づかず、いや、おごり高ぶっているのだろう、ばれるはずもないと。事後処理、関係者処分、いずれも極めて甘い形で終息してしまった。大学病院医学部にいるこんな人間たちに、患者は身をまかすことになる。
科学を出世の手段に利用することしか考えない者たちに対しての究極の怒り。小説を書くに充分な動機である。フィクションかノンフィクションか…。
判断は読者諸賢にお任せするとして、科学を冒涜する者への筆者の憤り尋常ではなく、その気持ちが結末をあのような形に導いていったと思っていただいてよい。
透白の殺意
2008年11月 : ぶんか社
私霧村悠康の主たる業務のひとつに、医療現場で使われている薬剤の副作用を解析することがある。
本当に薬剤が患者に不利益な作用を及ぼしたのか、薬剤は関係なく、患者自身の疾病が原因か、それとも…。
このあとを書くと医療不信に陥るのだが、薬剤の副作用に気づかないという医師側の失態、はたまた、いや、これは現実にはないだろう…。
と想像をたくましくすると、副作用が発生し、患者が死亡に至った場合、そこに何らかの意思が隠れているかもしれない。医師の意思、殺意…洒落にならない。
実際に降圧剤の使用方法に疑問を感じた症例があった。帰る道すがら、空の青に想像をひろげ、アスファルトの路面に目で文字を探っているうちに、透きとおるような白い光の向こうに、ある人物の殺意が蠢いているのが見えた。
死の点滴
2月17日(金)、フジテレビ金曜プレステージで「女医・倉石祥子〜死の点滴〜」(原作:「死の点滴」)が放映されました!!
<放映内容>
2012年2月17日(金)21時〜22時54分
フジテレビ系全国ネット
主演:片平なぎさ
出演:小池徹平、床嶋佳子、井上順、大友康平 ほか
2008年12月 : 二見書房
私の義理の妹が妊娠中、切迫流産の危険性ありとのことで入院。
朝夕の点滴を受け、安静を命じられた。夕方の点滴ルート、タコ管のところに赤いものが。血液が沈殿したものだと妹は気づいた。新しい点滴を持ってきたはずなのに、どうして血が混じっている? 看護師に尋ねると、こともなげに返事があった。「ああ、それ、朝のあなたの血よ。ちょっと逆流したでしょ」
もう、おわかりですね。妹の点滴のルート、朝使ったものを、もう一度、夕方にも再利用したわけ。
要するに、点滴ルートの使いまわし。朝から夕方までナースステーションに放置してあったに違いない。雑菌混入の危険性、極めて大きい。さらに…妹の朝使った点滴ルートだという保証あります? 他人のもの、それも深刻なウイルス感染している患者の点滴ルートを使われたとしたら…。妹は厳重に抗議して、あとでウイルス感染がないことを確認しました。よかった…。
そして、ありえない医療の日常。腹が立つ。
悪魔の爪痕
2009年2月 : ぶんか社
妊娠中の乳癌は見落とされやすい。
お乳の張りと考えてマッサージすると…万が一癌だったら、細胞が押し出され、最悪の場合、全身に散らばってしまう。知らぬは地獄。
赤ちゃん誕生という至上の喜びが、一転、進行乳癌の黒いヴェールに包み隠されてしまう。
現実に起こった医療過誤ともいうべき事件がヒントとなり、猟奇的殺人小説の幕開けとなった。作者さえ最初から、ここまでの展開を予想していたわけではない…。
もし、医師が癌と気づいていて、患者に乳房マッサージを勧めたら、それは確実に殺人の意図があることになる。乳房をえぐられ、無残な死体を曝した美人姉妹。悪魔の手は、末娘にまで伸びていく。
副作用報告から乳癌発症に疑問を抱いた古閑志保梨。
調査を進めるうちに、次々と殺人が。「悪魔の爪」とは何か? 想像もつかない展開に、志保梨の推理が冴えわたる。暴かれる過去。積年の恨みがついに晴らされる時が来た。
ロザリアの裁き
2009年2月 : 二見書房
人が死体になると、条件によっては腐敗せず、死蝋化する。
ロザリア・ロンバルド。世界一美しいミイラと言われるが、通常我々が知るミイラとはほど遠い、遙かに生きている人間に近い状態で、イタリアのとある修道会地下納骨堂に1920年から眠っている。
どのような条件、いかなる処理をすれば、生きたままの姿で死者を残せるのか。低温、湿度…だけではないだろうが、わからない。
医師が、つき合っている女を殺したいと思ったとき、どのような手段を選ぶだろう。殺して埋めて、死体が消えて、脅迫状が来たら…。この世の終わり。ゾッとする? 女は生き返ったのか?どこに行った…。
学会出張という都合のよい時間。日本全国、あるいは海外にまで。利用しようと思えば、いくらでも。想像をたくましくすれば、小説の舞台はいくらでもひろがり、さらには地底洞窟、海の中まで。条件がよければ、死蝋化した美しい死体…いや生きたまま長く保存できるかもしれません。
細菌No.731
2009年3月 : 大和書房
731、と言えば、悪名高い石井細菌部隊。第2次世界大戦中、細菌兵器の研究開発任務を負い、捕虜を使って生体実験をしたことで、知らない人はいないだろう。
国家、軍の命令とはいえ、中心になった人物は帝国大学関係者医師がほとんどだ。彼らは戦後、細菌部隊での研究資料を米国に譲渡し、非人間的行為に対する責任を逃れ、再び重職に戻った。知らなければ、目を背けず、勉強すべきです。人は状況によっては、たやすく悪魔に変身する。生きるための本能…として良いかどうか。
戦後60年経った今、帝都大東京に起こった老人の死。老人が持っていた折鶴。折鶴の紙に書かれたかすれた線。看取った医師に湧き起こった興味と疑問。はるか遠く、米国ワシントン郊外で極秘に進められる細菌研究。この物語は細菌部隊の後日談…ではなく、あくまでフィクションなのだが。
戦時中、東京地下に張り巡らされた、世界に類を見ない大地下壕。あれだけの地下鉄が必要なのかと疑うほどに、東京はかつての地下通路網を利用して地下鉄道が走り回っているのだが、そのうちに底が抜けるぞ、などと子どものような期待がある。これも悪魔のなせる業か?現代に封印された地下壕。想像もできない何かが、闇の中、眠っている。いつか日の目を見ることを信じて…。
脳漿溶解
2009年5月 : ぶんか社
※電子書籍でも出版しています。
健康食品ブーム。人間のからだ、必要なものを適量摂ることで維持されている。
何億年かかかってできてきた生命体、別に健康食品を摂取しなくても、立派な生き物として、今、この細菌だらけウイルスだらけの地球に存在する。
商売を邪魔するつもりはないが、コラーゲン、食べてもコラーゲンにはならない。コンドロイチン飲んだところでコンドロイチンにはならない。
人間には消化機能がありますので、コラーゲンもコンドロイチンも血液の中に吸収されるときには、バラバラです。でも、蛋白質、糖分を食べているのと同じだから、健康被害は起こらない。まずは安心。
ビタミンCだって、人間が1日に必要とする量は75mg前後。1000mg飲んだところで、余剰分は出て行くだけ。ひどければ下痢します。
もっとまずいのは合成界面活性剤。石鹸の代わり、よく汚れが落ちるのはいいのですが、身体を守るための蛋白質脂質まできれいに落としてくれるので、皮膚がやられるのです。手がボロボロに。川に海に流れた合成界面活性剤、分解されませんから、そのまま溜まる。魚や貝の口に入る。魚貝を人が食う。人体に入った合成界面活性剤、歯磨きにもたっぷりと含まれていて毎日食道に流れ込むけれど、体内で何か悪さしてませんかね。しているだろうなあ・・・。
という現代文明の揺り戻し、これも副作用か。目をつむっていると将来ろくなことがない、に違いない。思いが「脳漿溶解」という小説になりました。
お馴染みの古閑志保梨が、本来脳神経の障害を治療するはずの薬、かえって病勢を進行させるという副作用報告に目を光らせた。健康食品被害が明るみに出たとき、背後に隠された恐ろしい謀略まで顔を見せはじめたのだが、はたして志保梨は気がつくか。
黒い研究室
2013年8月23日(金)、フジテレビ金曜プレステージで「女医・倉石祥子〜死の研究室〜」(原作:「黒い研究室」)が放映されました!!
<放映内容>
2013年8月23日(金)21時〜22時54分
フジテレビ系全国ネット
主演:片平なぎさ
出演:小池徹平、大友康平、高橋ひとみ、大塚良重、三浦涼介、名高達男 ほか
2009年6月 : 二見書房
私が医科学者をつづけていれば、間違いなくクローン人間製造に手を染めていた…。
などと危険極まりない考え、どうでしょうか?
生命現象、単なる化学反応の集積に過ぎないから、可能性を言えば、人の手で人間を作ること、必ずできる。自分のクローンをつくって、将来自分が病気になったとき、臓器移植してもらう、なんて自分に都合のよいことだけを考えてはいけません。クローンも一個の確固たる自我を持った人間です。おいそれと「じゃあ、心臓どうぞ。肝臓あげます」なんて言うはずがない。自分が死んじゃう。しかし、一人の人間を作れるようになれば、各臓器、自分の細胞から簡単につくれる、再生医療が現実のものとなるということです。あるいは、病気や事故で失った愛する人、その人の細胞ひとつあれば、再びその人に会うことができるということです。
私がまだ若い医師だったころ、この物語に出てくるような少女を見送った経験があります。昼に夜を継いで治療した覚えがある。彼女の死。「もう治らないんでしょう」と叫んだ声。ご両親の顔。
億を超える時間を経て積み重ねられてきた化学現象・生命。短時間ですべてを解き明かし、クローンを作ろうなどとは傲慢不遜な考え。いえ、生命科学者霧村悠康の純粋な心情とお考え下さい。
吼える遺伝子
2009年10月 : 静山社文庫
遺伝子異常。我々は自分を正常な人間と思っている。正常とは何か?
五体同じような形をし、社会生活を滞りなく営める範囲が正常?
ところで生物、動物植物、多種多様。遺伝子から見ると、あらゆることが起こりうる。その中で、生命体として存在しえない細胞組織生物は脱落する。起こりうるすべての化学反応の中で、選ばれしもの、という表現は人間のおごりで、ほとんどのものが廃棄排除されたあとの、残りもの、というのが相応しい。これを我々は進化と呼ぶ。あくまで、化学反応の残りもの。
自らの遺伝子に刻まれた碑文を変えることはできない。運命…。
異形の遺伝子異常患者治療に敢然と立ち向かう天才医師。物語は隠された世界にまで進んでいく。
生命科学に深く足を踏み入れると、人間が規定した、人間中心の考え方が、ことごとく間違っていると感じられるようになった。「進化」などと、あたかも上級の資質体形を手に入れたかのように言うが、化学反応が新たな反応につながり、積み重なっていくだけのことである。途中、まずい反応が起これば、そこで脱落する。起こりえない反応は起こらない。
こんな、頭が痛くなるような話は、「吼える遺伝子」には出てきませんから、ご安心を。遺伝子が定める運命の悲しみ?を感じていただけたら。
内視鏡検査室
2010年4月 : ぶんか社
遺産相続、金額が大きければ大きいほど、相続税が大きくなるとともに、相続人の欲望も膨張する。そんなところに隠し子でも現れた日には…。
姿なき相続人。どこで何をしているのか。
副作用解析医師古閑志保梨が指弾した薬剤投与ミス。銀行内に隠された、本人しか知らない莫大な現金。誰も気がつかなければ、患者の死は薬によるアナフィラキシーショックで片づけられ、遺族も知らない銀行貸金庫の中の札束は、自動的に銀行のものになってしまう。そう、この世の中、知らないところで黙って人の金をくすねている輩が山ほどいるのです。引き取り手のない預金残高が毎年何百億にもなるとか。
知り合いの司法書士さんが問わず語りに口にしたネタに、私霧村悠康が実際に処理した副作用症例(薬の副作用ではありません、実は医師の投与ミスです)を絡ませて、小説では何人もの行方不明者を連ねて、何十億もの莫大な金はどこに消えたのでしょう…。
感染爆発・パンデミック
2010年4月 : 二見書房
昨年2009年、新型インフルエンザでさんざん脅かされましたよね。
恐怖に駆られた国民は、予防接種をしなければ、と追いつめられた気持ちになる。
で、インフルエンザ、たしかにかかれば辛いけど、ほとんどの人、流行していても発症しませんよね。これ、感染っていないんじゃなくて、感染っているけれど、ご自身の免疫がしっかりと働いて、侵入してきたウイルスを撲滅しているのです。人間の本来の姿です。
流行時、自分だけウイルス感染から逃れたなんて、そう都合よくいきません。
風邪でも何でも、感染症、本当は感染しているのだけれど、免疫が充分に対応しているのです。自分の生命力、抵抗力を信じて、あまり報道や政府の言うことに右往左往しないよう、お願いします。
ところでワクチンとは、病原体を人体に人工的に感染させて免疫をつくるもの。自然に感染し免疫ができて平和に暮らしている、ごく自然の現象をそのまま模倣したものです。ということは、免疫力の低下した人、お年寄り、ワクチン射ったって、免疫できない。ワクチンで死亡する症例、高齢者が多いのは、ワクチンに含まれる病原体の直撃ということになる。
もちろん罹れば多くの人が致死的という恐ろしい感染症は、きちんと予防接種を受ける必要があります。
かつての天然痘がそうでした。破傷風、ジフテリア…。
で、この小説、20年ほど前のワクチン禍(新3種混合)、判断ミスと金儲けという人為的な要素が極めて強く、そちらへの怒りも絡めて書いた小説です。
この問題に関する論述、当ホームページ「 文明論 」でも持論を展開しております。ご興味のある方は、どうぞご一読いただけると幸いです。
夜診
2010年8月 : 静山社文庫
地域では最大級の私立病院。診療を終えた夜の診察室。
美形の看護師に女好きの副院長の手がのびて、いやがる女を押し倒し…どこにでもあるエロ小説…じゃありません。
次の日、看護師の姿が病院から消えた。辞めちゃったんでしょうか。
この副院長、メスを持たせれば手は震える、外科処置をやらせれば乱暴、ついに父親の院長から外科失格を言い渡された、できの悪い医師。薬の副作用も見落とす。なってないのだが、これでも医者として稼げるのだ。
院長も女好き。夜な夜な怪しげなところで遊び、毎朝別宅からのご出勤。もっとも、アッペ(虫垂炎、俗に言うモウチョウ)の手術の腕は超一流で、腕前一本で病院を大きくしたようなものだった。
病院の近くに美術大学がある。画家志望の青年、モデルになってもらいたいと思っていた看護師、最近姿を見なくなった。何とか会いたいと、看護師の実家にまで足をのばすのだが、そこで看護師そっくりの妹に出会う。
瘢痕・殺意の陰に
2006年7月 : 文芸社(自費出版)
処女作「摘出」が出版された勢いに任せて書いた小説。
やはり、隠蔽された医療ミスがテーマ。主人公は超美人女医だが、何やらいわくがありそうな。とにかくミスを許さない、厳しい医師で、院長を動かしてまで、事故対策委員会を開催させるのだが。
舞台はS市民病院。大学病院医局とはまた違った雰囲気の中、しかも戦前に建てられた超旧式の病院。窓ガラス破損防止の×印に貼られたテープ。焼夷弾に焼かれた煤の跡。天井を這う何本ものパイプ、どこにつながっているのか…。
表紙、裏表紙、挿絵も著者が、自費出版ということで描いたもの。
近い将来、設定を大きく変更し、新編集、静山社文庫から刊行予定。続編も。




